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「ね、今日は何の花ー?」 「知らね」 「……ちょっと、これ血付いてるんだけど」 花を受け取った奴の嫌そうな声に被る笑い声。んふふ、と声を出しながら意味もなく傘を開いたり、閉じたり、やっぱり開いたり。 …目がチカチカする。新手の目潰しか何かか。 「別にお前にやったんじゃねぇんだからいいだろ。いちいち細けぇんだよてめぇ」 「花にさえ消臭剤をかける君のがさつさには最早感嘆さえ覚えるよ」 「そいつぁどうも」 「んふふふー」 相変わらずくふくふと笑いながらまたくるくると傘が回り始める。 何だ、今日のブームか。 どうでもいいがいい加減酔ってくる。 「おい」 「、あー」 「何してんだって聞いてんだろ」 パチン。取り上げた傘を閉じる。 近くで見てもすげぇ色。 この傘なら人混みに紛れても絶対はぐれねぇだろうなってぐらいの、そんな色。 「雨も降ってねぇのによ」 傘を探してさ迷っていた手が止まる。 今日は眼鏡をかけていない裸の目が、えらくゆっくり閉じて、開く。 「…雨って何?」 その隣でひそめられた短い眉に、俺はまた1つ余計な事を言ってしまったのに気が付いた。 by 椎
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