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と、言っても決められた枠の中を塗る訳でも目標のある線を描く訳でもないので、真っ白いキャンパスに下書きも何もせず色を重ねるだけなのだけど、
(何せ形と言うものが、この子にはないから)
これがなかなか味がある。
普通だったら躊躇ったり、実際見た色に囚われて踏み込めない所をスキップで飛び越して描かれた絵はとても不思議な色合いで、多分この子の頭を開いて中を覗いてみたらこんな色なんだろーなー。って。
じぃっと見てたら酔っちゃいそうな、脳内をそのままぶちまけたような、そんな感じ。
(そんなようなことをさっき椎に言ったら、まるで頭の穴から血やら何やらを垂れ流して死んでいた燕を見るような目で俺を見て去っていった)
椎は、この子以外の皆が眉をしかめるこの絵の具の臭いが嫌いではないらしい。
どれくらいすごいかって言うと、あの子が自分の作った服を着たこの子にエプロン1つだけ渡して出ていく位にすごい臭い。
(この子はよくキャンパスから筆を踏み外す)
(あの子は、服を自分で作るくらいに服が好き。らしい)
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