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誰かが言った。
何が誰が何処が、そのどれも付けずに誰かが言った。ここはおかしいよ。
「臭い」
「あ゛?」
「何か臭いよ。鉄臭い。………椎ちゃん?」
「あ、やっぱわかるよなっ!うひゃひゃ、こいつ馬鹿なんだぜ!ここ来る途中でチンピラに絡まれて頭かち割られてやんの!」
「っるせぇ。そこであばら折られたのに気付かねぇでここまで来たお前に言われたかねぇよ」
「すげぇよあれ!皮とか肉がテント張ってるみてぇなの!」
手を掴まれて服の上からお腹を触らせられる。
布越しに不自然に突っ張った部分に誘導されて、んふふ。笑うと、「ひゃひゃ、分かるだろっ!」と言われるのと同時にパッと手を解放された。
「……別に見せようとしなくてもいいよ、サン」
「んふふ、夢宇って意外と繊細だよねー」
「むう、せ んさ い」
「うるさいよイブ」
「………」
「…うるさいよファイ」
「ひゃひゃ、ファイ何も言ってねぇーっ!!」
「視線が。君はもう、存在がうるさい」
ひゃひゃ!とサンちゃんの笑う声に、ガチャ、と扉の開く音が混じった。
「あれ、皆来てたの?」
「兄ちゃん」
「にい て、ど したの?」
「え?あぁ、いや何か朝起きたら爪なくて…」
「んふふ、兄ちゃん昨日一々伸びる度切るの面倒だからって剥がしちゃったんだよー。ね、サンちゃん」
「ひゃひゃ!そーそっ!途中まで普通に切ってたのにいきなりベリベリーつって!」
「ズボラにも程があんだろ、お前」
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