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しゃっ、と音をたてて真新しいシャツを着込む。
本日2枚目の無地の白シャツのボタンを留めて、一枚目の無地で白かったシャツをゴミ箱へ。
所々赤黒いダッサイペイントのされたシャツは見事ホールインワン。
服にこれと言ったこだわりは、特にない。
肩まで伸びてきた自分の物ながら鬱陶しい髪を適当に縛って鏡の前に立つ。
あれは全部返り血の筈だから怪我はない、筈。
前にあいつの所に行った時はうっかり頭からの流血そのままに向かったので特に念入りにチェックする。よし、オールオッケー。
折れた傘にさっきの無謀な挑戦者の右手を思い出して新しい傘をさした。
ぽつぽつざぁざぁ。
泥水が足元を汚す。
ズボンの裾がほんの少しだけ焦げていた。
この国には酸の雨が降る。いつからなのかは分からないが、発覚したのは少なくとも年号が分かる程度の昔。
それよりもずっと前から多少皮膚が溶けようと気付きもしない人間の多いこの国では、発覚するにはとても時間がかかったのだと、偉い学者が画面の向こうで言っていた。
(鬱陶しい…)
はぁ、とため息。
喧嘩はやはり晴れの日に限る。
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