縛神―ﾊﾞｸｼﾝ―

壱

それからなんともひまーい授業を受け、安倍の家に行こうと教室を出る。

｢そういえば！お前ら田中先生に呼ばれてなかった？｣

原田が思い出したように立ち止まる。

｢｢あ…｣｣

俺は勿論、安倍も呼び出しの事など欠片も覚えていなかった。

｢俺先に校門で待ってるから｣

原田は、頑張ってと手を振りさっさと行ってしまった。俺と安倍は大きなため息をつき、重い足取りで職員室に向かう。

｢失礼しまーす。大…田中先生いますか？｣

危うく大ちゃんと言うところだった。
俺はホッと安堵の息をついた。

｢こっちに来い！｣

田中が職員室の休憩室前で俺達を呼んでいる。

ここに来るのは何度目だろうか。
数えればきりがないような気がする。