自分、不器用ですから。

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自分、不器用ですから。

道の向こう側から犬の散歩をしている人が歩いてきた。 今まで大して気にしたことはなかったが、犬に洋服を着せている人の多いこと。 前からくる人が連れている犬も例外ではなかった。 目を引いたのは、その服が随分と凝ったデザインだったから。 黒いベストに、白い襟がちらりと覗いている。 首には真っ赤なネクタイ。 動きやすいように腕の部分はついていない。 最近の犬用の服もオシャレになったものだ、と思った。 小さなチワワはトトと同じくらいの大きさだ。 あのサイズなら、トトにも合うかもしれない。 「あの!」 横を通り過ぎようとしているところに、思い切って声をかけてみた。 相手は若い女性だった。 訝しげに見ている。 「あの、その服どこで売ってるんですか?」 相手が、更に不審者を見るような顔つきになったのは言うまでもない。 家に帰り、さっそくトトに今日の買い物の成果を見せてみた。 四苦八苦しながら着せ替えてみたが、その結果は... 「う~ん...微妙だ」 なんともお粗末なこと。 犬用だとどうしても腕の部分が開いており、何とか縫い合わせてみたものの、普段縫い物などまったくしない腕ではいびつな形状にしかならなかった。 でもトトはすっかりご満悦の様子で、目をキラキラと輝かせてみせては、みてみてと言うかのように跳ね回っている。 「気に入ったか?」 そう尋ねればにんまりと口が裂けそうなほどに笑って見せた。 「そーかそーか、気に入ったか」 トトのその笑顔をみて、よしとすることにした。 骨董屋で、パオ用の服が売られていることを、彼はまだしらない。 end. --------------------------- かなり適当に書いたものwimage=354582309.jpg
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