森の追憶

1/4
前へ
/26ページ
次へ

森の追憶

--ああ、これはトトの記憶だ。 夢の中でそう思った。 深く、緑豊かな森。 点在する色とりどりの花々。 鏡のような湖。 木漏れ日に揺れる水面。 そこに、トトの姿があった。 そして見も知らぬ少女。 頬を濡らす涙。 そこで目が覚めた。 濃密な緑と大地の発する匂いや、手に触れるものの触感は目覚めた後も生々しく残っていた。 悲痛でちくりと痛む胸。 枕を濡らしたものの正体。 これは、トトの感情だろうか。 消し去ったはずの、過去の感情?
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加