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森の追憶
--ああ、これはトトの記憶だ。
夢の中でそう思った。
深く、緑豊かな森。
点在する色とりどりの花々。
鏡のような湖。
木漏れ日に揺れる水面。
そこに、トトの姿があった。
そして見も知らぬ少女。
頬を濡らす涙。
そこで目が覚めた。
濃密な緑と大地の発する匂いや、手に触れるものの触感は目覚めた後も生々しく残っていた。
悲痛でちくりと痛む胸。
枕を濡らしたものの正体。
これは、トトの感情だろうか。
消し去ったはずの、過去の感情?
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