森の追憶

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夢で見た情景を思い返してみる。 一枚の絵画のような光景。 少女の顔を思い起こしただけで、胸がぎゅっと締め付けられた。 流れ込んでくる感情。 悲しい。辛い。切ない。苦しい。 けれども他に響いてくる想いがある。 悲哀が、身を焼き切る炎だとするならば、きっとそれは水のもの。 しとり、霧雨のように降り注ぐような。 じんわりと、こころに滲む幸福感。 優しい。嬉しい。だいすき。 あの記憶のなかに、何物にも代え難いぬくもりがある。 そんなものが、確かに感じられた。
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