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花は告ぐ
「プレゼントでよろしいんですよね?」
店員が念を押すように問いかけてきた。
骨董屋にいけない時には駅前の花屋に足を向ける。
パオの食料を調達する為だ。
「あ、はい」
無論、食用の花を探しているなどとは言える訳がなく。
かといって「自宅用です」とは口が裂けても言いたくはなかった。
なので、口実として「プレゼント」を装うことにしている。
男が花を購入する目的といえば、女性に贈る以外に考え付かないだろう。
まして、定期的とも言える頻度で花屋に足繁く通う男の姿を見れば、あれこれ想像したくなるのは仕方ないことかとも思う。
ラッピングを見れば、当初シンプルだったはずの包み紙が(大変困ったことに)ピンクやレースのついた酷く凝った乙女チックなものに変わってきており。
最近では「お相手はさぞ喜ばれるでしょう」とにこやかに言われる始末。
オレが女だったら、花を買うくらいならどっかメシに連れてけよ。チッ! とか絶対に言うと思うのだが・・・。
とは言え、店のオネーサン方のオレを見る眼差しは恐ろしいほどに優しく。
そんな目で見られてしまうと、それはそれはとてつもなく、いたたまれない気持ちになるのだった。
まさかピンクの可愛らしいブーケが見るも無残に食いちぎられているとは、夢にも思うまい...。
「贈り物でしたら、別の花にされた方がいいかもしれませんね」
と、オネーサンは少し困った顔をして告げる。
「あ、え?えーと...何か、おかしいですかね」
突然突き返されて、焦るわキョドるわ。
いつもは適当に選んだバラを数本渡して、後は店員に任せてブーケを作ってもらっている。
今回選んだものは、単純にキレイな色だと思ったからだった。
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