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目の前には、白い空間が広がっていた。
壁も、天井も、恐らく床も綺麗な純白。
そこには何もなく、ただ自分だけが白いベッドの上に横になっていた。
物も色も、音も無い中で、白い天井を延々と眺めるしかない。
何も感じる事の出来ないこの空間は、まさしく『無』そのもの。
いや、無という言葉すら当てはまらない程にそこは空白でしかなかった。
どれほど前から此処にいるのかも判らない。
時計も無いため、時間の流れも解らない。
何故こんな所にいるのだろうと、考えた事も無かった。
此処には途中からいたのか、最初からいたのかも『知らない』。
ただ、この色が白だというのが判るという事は私は他の色も見たことがあるという事なのだろうか。
もしそうならば、以前はどんな色を見ていたのだろうか―――
それくらいしか、思う事はなかった。
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