0/プロローグ

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目を開けると白。閉じると黒が世界を支配する。 何処まで見通しても、それは変わらない。 どちらにしても何が変わる訳でも無かった。 ただ、どちらかというと目を開けていた方の色のが好きで、目を閉じる方は少なかった。 ――何も無いのなら、景色(いろ)は明るい方が良い。 「…何を視ている?」 何処からか、自分のとは違う音が聞こえた。 「その視線の先に、何が視える?」 低い音が再度問い掛ける。 白と、黒。 「……何を求めている?」 ……何も無いものに、求めるも何もない。 「ならば、何かの存在を望むか?」 ―――あるのだろうか、そんなもの。 「それは■■次第だが、もし望みがあるのなら、少なくともこの部屋(せかい)には無いのだろう。あるとすれば、それは此処ではない何処かだ」 段々と音が近くなり、影が視界に入るのが判った。 「欲しいという願望があるのなら、出ればいいだけの事。欲しい物が不明ならば、まずそれを解明すればいい。それが普通。生きる者の一般的思考と理(ことわり)だ。それが無いという事は、お前もその『無い』に等しい存在なだけ」 大分近くなり全体が見えるようになる程になったが、霞がかっているようで形しか読めない。 私はソレに、真っ直ぐと目を向けた。 「人外であるお前に、その望みはあるか」
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