第零話

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「どちらもない。 その書類は暗号化されていて、並の科学者・・常識を持った科学者にはわからない。 それに我輩の性分で誰かを弟子に、誰かに教えをこわん」 ダウスはミストの顔をみる。 「同じ科学者だからわかりますが。 この手の科学者は弟子にもならないし、作らないです。 それにこの暗号はそう簡単にはとけません」 「お前でもか?」 「一部は読めました。 その一部がガーリン、レッドリーバの研究と一致します」 女性は告げる。 「そうか。 だが、ガーリンの師匠なんだろ?」 「それは先程もいったが、比喩にすぎない。 書類を拾わせ、我輩の実験をさせてやった」 ダウスは視線をミストから反らさず告げる。 「信じよう。 ではガーリンのレッドリーバの研究を再現してみせろ。 こいつは一応、科学者のリーダーをしているものだ。 こいつに研究室に案内させる」 女性はペコッと頭を下げる。 「頭がかたそうだが。 物分かりがいいな、さっさと案内しな」 ミストから女性に視線を向ける。 「わかりました。 ついて来て下さい」 ダウスは女性と共にミストの部屋を出ていく。 「まあいいだろう。 ただ拾わっただけにしろ、レッドリーバの代わりさえみつかれば」 ミストはクスクスと笑っていた。
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