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とある麦畑が清々しいぐらいに生え揃っている頃の事。
少しばかり暗い路地裏で俺は
「好きなんだよなー、ハハ、あ、愛してるの方だからね?」
弟と思っていた男に、告白された。
― コクハク ―
そんな軽いノリの告白をうけ、俺は思考が廻らなかった。何を言ったのか、どんな状況に自分が居るのか、分からない。
分かりたくなかった。
すると少しした後、弟もとい、アルフレッドは薄ら笑いを浮かべ「兄弟愛の愛してるだよ、お兄ちゃん」と言って両手を空ではためかせた。
俺はそれでも思考が廻らず、口を魚の様にパクパクとさせながら顔を紅色に染めるばかりだった。
ともあれ。これがいつもの悪い冗談であるなら良いかと、溜め息を1つ付き、苦笑いでアルの頭を叩いた。少しだけ、強めに。
だって、本当にお前が好きな俺はどうすれば良いか分からないから。
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