特訓

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氷姫「それより臨界者になるためにはだったな。それには蓮の姉が言っていたように実力も心も必要なんだ。実力がどれだけすごくても心が澱んでいれば魔武器に認められない。主の場合は我に優しく語りかけてくれたし、心が純粋だと少しの時間でわかったから出来たのだ」 麻衣「じゃあ私は何をすればいいんだ?」 氷姫「ゆっくり魔武器に認めてもらうしかないと言いたいのだがそんなことしたら一生出来ないかもしれぬ。まあ、お主は主の大事な人ということだから我がお主の魔武器に聞いてやろう。魔武器を出せ」 麻衣「すまないな、黄龍」 麻衣さんは刀を出した。俺がこの世界に来たときに使っていたあの刀だ。一目見て切れ味がいいことがわかる。鞘と柄は白を基調としていて、所々装飾に黄色を用いられている。氷姫は麻衣さんの手から黄龍取り目を閉じる。おそらく語りかけているのだろう。 氷姫「…………よし、わかった。今、黄龍に何故臨界者になれないか聞いてみた。強さに関してはかなり認めているらしい。ただ自分の過去とケジメをつけろということだ。そうすれば、完全に認めるそうだ。」 麻衣「そう……か、ありがとう。じゃあ稽古を再開しようか」 俺は再び座禅を組み精神を集中する。後ろから聞こえる滝の音、風で木々が揺れる音、ここではそれらが感じられて気持ちいい。麻衣さんは木にもたれかかって何かを考えているようだ。
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