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「この情報は全て偽り。 コ・イ・ヌールの指輪を持つ女よ。 簡単に真実には辿り付けないわよ。 ルナ・バーバラ…。 色々調べたけど実体はあっても、存在しない謎の美女。 どこにも彼女の生きた証拠がなかった。 普通、どんな人でも一つくらい掴めるはずなのに……食えないわね。 そういえばねぇ、覚えてる? コ・イ・ヌールが消えた年、 他にも指輪が消えたの。 ゴールドパール、トルマリン、スタールビー、エメラルド、タンザナイト… そして…」 「キャッツアイ」 俺は答えた。 あんな有名な出来事忘れるわけがない。 コ・イ・ヌールを始めに次々と指輪が消えていったのだ。 警察が調査したものの、指紋などの証拠はなに一つ見つからず、 "神隠し”にあったと、 日本好きの外国人は叫んだものだ。 「その指輪がどうした?」 「 "婦人の茶会" で聞き込みして気付いたんだけど、 ルナ・バーバラも同じ宝石の指輪をもっているの。 本物かどうかはまだ不明だけど、 コ・イ・ヌールを持っているから可能性は高いわ。」 「まぁ、そうだな。 それで、どうしたいんだ?シェリー。」 「ルナ・バーバラの屋敷に潜り込んで、 調べたいの。 屋敷の建築図や飛行機の手配はしてあるわ。」 シェリーは自信満々に答えた。 普段も仕事は早いが、今回は中々やる気に満ちていつも以上に手際がいい。 よほど、俺の挑発が気に食わなかったみたいだな。 気が強い君は猫のようだ。 「わかった。」 俺は答えた。 「じゃあ、明後日出発よ。」 俺たちは立ち上がり、 それぞれの部屋に解散した。 やる気のシェリーが今後、どう進んで行くが見物だな。 しかし…、 気ががりなのはハチ。 何事もないといいが。
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