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「俺も君も昔と変わらず同じだよ。
変わったのは俺らの環境。
嘆くなら現実を、嬉々するなら夢で。」
俺はそっとシェリーに口づけした。
長いキスではなく、軽く唇が触れる程度の。
「口封じのつもりかしら。
笑えないわね。
あなたのそうゆうとこ大っ嫌い。
指輪は意地でも盗みに行くわ。」
シェリーは俺を押しやり、そっぽを向いた。
「嫌いで結構。
でも、君の気が強いとこは、俺は好きなんだけどな。」
シェリーの肩を持ち、無理矢理こちらを向かせる。
そして、強引に彼女にキスをした。今度は甘く濃厚な。
彼女の舌が必死で抵抗するが、俺は構わず舌を絡めていく。
「っん。」
シェリーの口から甘い吐息が漏れる。
やらしく部屋中に響いていき、彼女自身も恥ずかしかったようだ。顔が赤くなった。
次第に抵抗も弱まり、むしろ受け入れてきた。
俺は口を離した。
かなり長い間だったので、息が上がっている。
そして、俺を求めるような、また悲しい目でシェリーは見てきた。
「どうした?続きがしたいのか?」
意地悪く微笑んで言った。
「あなたの霧はそうやって濃くなっていくのね。」
彼女は悲しそうにそう言い、ソファーから立ち上がり、自分の部屋に向かった。
黒い横にスリットの入ったドレスを着ていたので、歩く度に綺麗な足が覗く。
俺が正常なら追いかけて、彼女の部屋で一発やるのにな。
俺は勿体ない男だ。
「君以上に魅力的な女性はいないよシェリー。
月を除いてな。」
そう呟き、俺も部屋に戻った。
リビングにある窓から、月明かりが入り、
なんだか月が盗み聞きしているような
そんな風に感じたからだ。
月は人を惑わす。
気をつけなければ。
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