一匹狼の一日

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朝、一番にするのはケータイのチェック。 オレは人より無頓着で、何かにこだわる、ということはほとんど無い。 そんなオレにとってケータイはあっても無くてもいいもので。 それなら毎朝ケータイをチェックする必要はないだろう、って? そんなの、オレが聞きたいぐらいだ。 「お兄ィ、そろそろ起きてって…」 「もう起きてるっつーの」 「早いね、今日はお母さんいないから自分たちでご飯食べてだって」 「了解」 時計の時刻を確認すると七時半。たしかに早い。 ご飯できてるから早く準備してきてねー、と叫ぶ妹の声が遠ざかる。 妹の琴葉。 この春、中三になった琴葉は反抗期もなく家事、勉強卒なくこなす兄である自分から見ても非のない妹だ。 そして母と父。 母はバリバリ働いていて、仕事で早朝から家を出るのなんてしょっちゅうだ。父は写真家で世界中を飛び回っている。それにすっかり慣れてしまったオレと琴葉は、自分達だけでいつも通り過ごすだけ。 最後にオレ、桜。 桜という名は完璧、男に付けるものではないだろう。母によれば、琴葉より手の掛かるオレは名前についていつも愚痴っていた記憶がある。 結構前、オレはこの名前が好きになりつつあった。けれどそれは、言葉通り、結構前までのことで。 今はこの名前が嫌い、だ。 まあ、何はともあれオレの一日はこうして始まる。 .
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