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ばきん。ぼきん。ぱりん。
がしゃん…。
心の中で、夢が折れる音がする。数ミリ動かしただけで激痛が走る左脚。
始まる前に全てが終わってしまった。
もう二度と来夢とはバッテリーが組めないんだ。
脚なんかより、胸の方が痛かった。
眠徒(病院てきらい…)
「ぽた…」
眠徒「あれ…?」
いつの間にか泣いていた。運ばれる車の中でも、診察を待つ病院の廊下でも、涙は出なかったのに…。
眠徒「やだ、止まんない…くそ…ばか…なんで…」
ユニフォームの袖でごしごしと目を擦った。
垂れそうな鼻水をすすって天井を見た。
眠徒「試合のまま来たからアンダーシャツ濡れてる…着替えよ」
脚を動かさないように体だけよじり、セカンドバックから着替え用のアンダーシャツとジャージを出して濡れたアンダーシャツを脱ぐ。
眠徒「んしょ…不便だな…」
ちょうど脱ぎ終わり、下着のみになった時、
どたどたと走る足音が聞こえ、部屋の前で止まる。
喧嘩のような話声が聞こえたので、誰か直ぐにわかったが、今は少しまずい。
眠徒「ちょ…待って!!今は…」
「ガララッ!!!!」
甲太郎「眠徒先輩!!」
眠徒「ぎゃーー!!!?」
甲太郎「のわぁッ白昼間の痴女!?」
眠徒「ノックぐらいしろやバカたれぇぇ!!」
「カコーン!!!!!」
甲太郎「おうふっ!?」
眠徒は胸を手で隠しながらテレビのリモコンをスナップスローでぶつけた。
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