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眠徒は橙に抱きついてぐりぐりと頬擦りをした。
甲太郎はばつが悪そうに立ち上がり、部屋を出ようとする。
眠徒「どこいくんだよ」
甲太郎「便所!!」
眠徒「ついでにジャ〇プ買ってこい…あとコーラ」
甲太郎「パシんな!!」
眠徒「来夢にチクるど」
甲太郎「~~っ!!買ってくりゃあいいんだろ!!」
「ガタンッ!!!!」
甲太郎は豆鉄砲のように部屋を飛び出した。
眠徒は舌を出して笑っていた。
眠徒「へっちょろいもんだ」
橙「ははは…」
眠徒「でもまぁ…やっぱりこたろはあんくらいのがいいね」
橙「はい♪」
眠徒「おっ嬉しそーにしやがってこいつー!!」
橙「やぁぁ~」
眠徒は再び橙に頬擦りをした。
* * *
レオン「……野球か」
少年は一人廊下にもたれかかり、パーカーのポケットに手を突っ込んで中のボールをいじっていた。
縫い目の数は108つ。
煩悩の数と一緒なんだとか。
でも野球のボールはアメリカで産まれたのだから関係性はよく分からない。
レオン(……そういえば最後にマウンドに上がったのいつだったかな)
ポケットからボールを取り出した。
手のひらの上で転がしている。
鼻に近づけると、革のいい匂いがする。
胸いっぱいに野球の匂いが広がる気がした。
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