10 立ち向かう時。

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眠徒は橙に抱きついてぐりぐりと頬擦りをした。 甲太郎はばつが悪そうに立ち上がり、部屋を出ようとする。 眠徒「どこいくんだよ」 甲太郎「便所!!」 眠徒「ついでにジャ〇プ買ってこい…あとコーラ」 甲太郎「パシんな!!」 眠徒「来夢にチクるど」 甲太郎「~~っ!!買ってくりゃあいいんだろ!!」 「ガタンッ!!!!」 甲太郎は豆鉄砲のように部屋を飛び出した。 眠徒は舌を出して笑っていた。 眠徒「へっちょろいもんだ」 橙「ははは…」 眠徒「でもまぁ…やっぱりこたろはあんくらいのがいいね」 橙「はい♪」 眠徒「おっ嬉しそーにしやがってこいつー!!」 橙「やぁぁ~」 眠徒は再び橙に頬擦りをした。 * * * レオン「……野球か」 少年は一人廊下にもたれかかり、パーカーのポケットに手を突っ込んで中のボールをいじっていた。 縫い目の数は108つ。 煩悩の数と一緒なんだとか。 でも野球のボールはアメリカで産まれたのだから関係性はよく分からない。 レオン(……そういえば最後にマウンドに上がったのいつだったかな) ポケットからボールを取り出した。 手のひらの上で転がしている。 鼻に近づけると、革のいい匂いがする。 胸いっぱいに野球の匂いが広がる気がした。
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