巡りくる兵

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「あ~強い奴いないかなぁ」   川神学園への道すがら、川神百代はいつものように呟いた。   背中まで流れる黒髪に、整った顔立ち。意志の強い瞳に抜群のプロポーションを誇る彼女は、それでいて最強の名をほしいままにする武士娘だった。   世界各国の強者や、自称最強や、そこらへんの不良ですら彼女へ挑戦しにやって来ていたものだが、最近はめっきり姿を消している。   戦闘大好き!な百代にとって相手がいないというのはかなりつまらない。   「まゆまゆ~。ちょっとお姉さんと激しい運動でもしないか?」   「はわっ!?えと、すいませんできません!!」   近場の強者…   黛 由紀江 は百代の誘いを慌てながら断る。   首の後ろで二つに縛られた黒髪が、由紀恵が頭を下す動作に連動して揺れていた。   百代の周りには強者は多い。   「モモ先輩誘い方が卑猥だよ…大和は私と激しい…」   「お断りで」   百代の言葉を注意しながら、自分は隣を歩く少年を誘惑する少女は 椎名 京 弓を取らせれば仲間の中で一番だろう。   薄く青いショートヘアの前髪をヘアピンで止め、手にはどこから出したのか「GOOD 10」と書かれた小さな得点板を持っていた。   京は少年、直江 大和 にご執心であり、事あるごとに彼を誘惑する……が、大和はそれを拒否。   「お姉さま!あたしが相手になるわよ!!」   「ん~ワン子はまだ修行だな」   「わうぅ」   百代に力量不足を言い渡されて落ち込んだのは体操服でブルマという通学にはおかしな服装な少女。   川神 一子 幼い頃より仲間内にいた古参の一人で、昔施設に入れられた頃に川神家に養女として迎えられ百代の義妹となる。   薙刀を武器とした戦法をとるが格闘技も少々と日々目標である百代に追いつくために特訓に励んでいる。   実際、今現在も彼女の腰にはロープが結ばれ、その先にはタイヤが三つ繋がっていた。   「ははは、ワン子も落ち込むな。いつか追いついてやればいい」
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