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私と近衛さんは今私の部屋にいる
近衛さんを家にあげた時、お母さんの様子がおかしかった
まるで近衛さんがいないかのように振る舞っていた
私がタオルで身体を拭きながら『この人今晩泊めたいんだけど』って近衛さんを指してみても『どこにいるの?』と言われて……
家に来るまで大分濡れたはずなのに近衛さんは全く濡れてなくて
雨に濡れなくて、触れなくて、私の他の人には見えない
もしかして――
うぅん、もしかしなくても近衛さんって……
「私、幽霊なのかもしれないわね」
私が考えたことを近衛さんは悲しそうに呟く
幽霊なのかも……
私もそれは考えた
というよりそれしか思いつかなかった
記憶がないのは死んだ時のショックか何かで……
死んだっていう事実も忘れてたってことだよね
「そう、ですね」
「気持ち悪くないの?
幽霊が目の前にいて」
確かに、普通なら怖いって思うだろうけど、全然そうは思えない
近衛さんだからかな
優しいし、綺麗だし
お姉さんがいるとしたらこんな人かな、って感じの人
「いえ、近衛さんは近衛さんですし、怖いとか気持ち悪いとか、そういうのは全然」
私が首を横に振って否定すると近衛さんは嬉しそうに微笑む
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