129人が本棚に入れています
本棚に追加
胸は苦しいけど、梢さんの力にはなってあげたいっていう気持ちもある
うぅん、力になってあげなきゃいけない
私は何故だかそう思う
「……成仏できないってことはなにか心残りなことがあるってことだよね?
何か思い出せない?」
私はそう尋ねてみる
成仏できないのは未練がある所為だよね
その未練をなくせばきっと成仏はできる……筈
「ごめん、何も思い出せないわ……」
「そう、仕方ないよ
記憶がないんだもん
私が生きてる間は力になるから何か思い出したら言ってね、梢さん」
口ではそう言っておきながらも心のどこかで未練が思い出せなくてホッとしてる自分がいる
どうして……?
そんなに私は梢さんを苦しめたいの?
「ありがとう、美羽ちゃん
美羽ちゃんとは生きている時に会いたかったな」
私は感謝される資格なんてない
私は何故だか梢さんが苦しむ事を望んでる
そんな私と生前会ったって呆れられてたと思う
なんだか気分が沈んできちゃう
また話題変えよう
「話は変わるけど、梢さんお腹って減るの?」
私がそう尋ねると梢さんはお腹に手を当てて考える素振りをする
なんだかそれが可愛く感じる
年上(多分)相手にそう思うのって変なことなのかな
普通は年上って言ったら『綺麗』とか『格好いい』とかだよね
少し失礼かもだけどそう感じちゃうんだから仕方ない
「今は減ってないかな
でもこれからどうなるかは分からないわ」
それもそうか
さっき死んでるって事に気付いたばっかりなんだもんね
これからどうなるかなんて分かるはずもない
「お腹減ったら遠慮しないで言ってね」
「そうさせてもらうわ」
そう微笑む梢さんを見ると不思議な気持ちになってくる
なんていうか、さっき会ったばかりとは思えない
一緒にいると安心して、それだけで嬉しくて
家族に感じるのと似てるけど厳密には何か違う
そんな何かを感じている
最初のコメントを投稿しよう!