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『物分かりがよくて助かるわ
それで私が今主導権を握っちゃってるみたいなのよ』
だから私が思ったように身体が動かないんだ
でも取り憑いちゃったなら離れればいいのに……
『離れられないのよ
というより離れ方が分からないの』
まぁ、それも仕方ない、か
梢さんは幽霊になったばかりなんだし
記憶もないんだし
『少しでも早く離れられるように頑張るわ
その間、美羽ちゃんは休んでいて構わないわ』
休む、って
梢さんが頑張っているのに私だけ休むっていうのは気が引けるな
というよりこの状況で休むも何もあるのかな
梢さんは私の身体で色々試している
お祓い棒を持ってみたり、本当に色々
というかお祓い棒なんてどこにあったんだろう
幽霊がお祓い棒を持つのもなんだかシュールだよね
『そんなこと考えてると私怒るわよ?
今この身体の主導権は私にあるんだから返さないってことも出来るんだから』
確かにそうだよね
離れようとしなければずっと私の身体に留まることは可能なわけだし
『まぁそんなことはしないけれど』
梢さんはそういって携帯を取り出して『お祓い 仕方』と検索する
こう考えたら梢さん怒るんだろうけどやっぱりシュールだ
幽霊がお祓いの仕方を調べるなんて
『うーん、よく分からないわ
美羽ちゃんが強く念じればいいのかしら』
梢さんが見てるページを私も見てみる
同じ身体だから同じ光景が見えるのも当たり前なんだけど
確かにそこには強く念じれば、みたいなことが書いてある
『1回強く私に出て行くように念じてみて』
強く念じる、か
確かに出て行って欲しい
けど、なんというか2人で1人っていう奇妙な感覚ももう少し味わっていたい気もする
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