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純子が寝入ってから私は家族に挨拶をして病室を出て行った。
この頃には純子の母は私の母のように可愛がってくれていた。
嬉しかった。
純子を愛して育ててきた家族に愛される喜び、代えがたい嬉しさだった。
『誠君、純子がね、いつも窓の外を眺めながら桜はまだかな?って言うの・・・あとひと月も先なのにそう言うの・・・。
おかしいでしょ?でもね純子に桜ももうすぐ咲く頃ねって言うの。そうするとあの子ったら、誠も都大会で優勝するんだよ、その時に桜の下で二人で喜びを分かち合うんだって・・・。誠君との喜びを純子は今生きる糧にしているみたい。誠君、頑張ってね。』
私はあの時のお母さんの笑顔が今でも忘れられない。
もう純子に死期が近いことを知っていながら私を励ましてくれていたあの笑顔を・・・。
『はい、頑張って優勝します。』
私は自身有り気にお母さんにそう告げた。
自信なんて何も無かったが・・・。
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