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学校はつまんなかった。
クラスにはすでに地元のヤツらのグループができてて、いじめられてたし。
黄色い線の前に立ちながら、ぼくは立ち眩みを起こしていた。
朝の駅のホームはくさい。
その原因は明白で、だいたいがサラリーマンのおじさん達。
加齢臭っていうのかな、生ぬるいくて酸っぱいものを無理矢理鼻に突っ込まれた感じ。
それを嗅いでるだけで頭がくらくらする。
どこからか漏れてくるアイポッドの激しい音楽のリズムも、目眩を起こす原因だ。
音の出どころを見つけて、顔をしかめてスーツの背中を睨み付けても、向こうはぼくの視線にちっとも気付きやしない。
もう、ウンザリ。
ホームに立っているだけで、朝から絶え間なく苛々が蓄積されていく。
それはバランスを崩したジェンガみたいなもので、いつ崩れてもおかしくはなかった。
――そう、ぼくはこの日この瞬間に、崩れてしまったんだ。
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