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君はいつも茶色いコートを着ていた
フード付きの暖かそうなコート
君はいつも決まった時間に来て
教室に入り大きな声でみんなにおはようという
最初は僕も挨拶していた
友達としゃべりながら席にもつかず
チャイムが鳴り君の隣へ座る
だけどいつしか自分の席について
君がくるのを待つようになった
そして君がいつものように入ってくる
いつものように挨拶をする
だけど僕は返さない
すると君は隣にきて僕だけに向けて挨拶してくれる
僕だけのために
大勢の一部ではなく僕を僕としてみてくれる
君の特別な存在になった気分
それがうれしかった
恥ずかしがりで素直じゃない僕は
茶色いコートのフードを引っ張り嫌がらせをする
君はみゃーとかわいい声をだしながら
僕のじゃれあいに付き合ってくれる
ちょっと天然な君
いつしか君を目で追うようになった
見つけると心が躍り
いないと少ししゅんとなる
君が生活の中心にかわっていった
だけど幼い僕はその自分の気持ちに気付かない
そして…君はいなくなった
どこへいったかは分からない、覚えていない
僕はその日学校を休んだ
涙をだれにも見せたくなかったから
だけど君は引っ越しの荷物をつんだ車でお見舞いに来てくれた
2人だけの時間君はありがとうと言った
僕はなんで?と聞く
すると
「〇〇くんのおかげてすっごく学校楽しかった!!
それと…
私の初恋をありがとう♪」
僕は顔を下に向けた
照れた・嬉しい・悲しい・寂しい
いろんな感情が混ざり合った顔を隠すために
でも君はそんな僕を優しく撫でてくれた
近くでみると少し目が腫れてる
涙のあともあるから泣いたのかな?
寂しいのは自分だけじゃない
そういいきかせて顔をあげていつもの調子でこう言った
「ばーかっ……こっちこそありがとうだっ♪」
そして君は車に乗り込む
ばいばいと言った君のいう言葉に僕は
またねっ
と返した
あうかもわからないのに
でも君は
また…いつかねっ♪
と返してくれた
手を振る2人
車がみえなくなっても手をふっていた
ばいばい……またいつかねっ
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