空から降る金の雨

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降りしきる金色の雨の中 僕は独りで立ち尽くしていた。 見ると、いつの間に現れたのか 美しい水色の蝶が、僕の鼻先をかすめるように飛んでいた。 ここらでは見かけない珍しい蝶だった。 黒く縁取られた羽は瑠璃色がかった水色で 木漏れ日を受けてキラキラ輝いている。 捕まえようと手を伸ばしたが、ひらひらと、身をかわし逃げてしまった。 まるで僕をからかうように、近づいたり離れたりを繰り返していたが やがて、空高く消えてしまった。 一瞬、あの女の子の笑い声が聞こえたような、気がした。 金の雨も暫く、ふりそそいでいたが やがて消えてしまった。 fin.
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