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「お梅さん、大丈夫ですか。」
お梅さんは案外しれっとしていた。
「さぁ早く追いなさい。そう遠くにはいけないはずよ。彼女がここから逃げる前に毒を塗った針を刺したから。」
お梅さんはそう言った。
なんて隙のない人。敵に回したら怖い。
しかしそれから探したが、見つけることが出来ず、日が登ったころ屯所に帰ってきた。
「お前は休め。副長への方向は俺がする。」
齋藤さんはそういって私を休まさせてくれた。
初めての戦い。
恐怖や憎しみをこの手で感じた。この時代でも私は騙された。
※※※※※
「失礼します。」
「昨日一体何があったんだ?」
土方さんは心配そうにこちらを見る。
「居候の千が長州の間者でした。脱走して追ってはみたものの取り逃がしました。申し訳ありません。」
「まさか、間者だったとは。あの小さな体で何か出来るとは思わなかった。んで斎藤が最も心配しているのは?」
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