その1

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そう。私は舞台で倒れた。 セットの不具合で私の上に倒れてきた。本当に運が悪い。 舞台裏では驚いて駆け寄ってくる人と後ろで笑っている人がいた。 そしてしっかり聞こえた言葉。 「ばーか」 それはとてもとても小さな声。 舞台座席をみると野次馬のようにざわめいていた。みんなが私をみて面白がっていた。 怖い。人が怖い。 ばーか ばーか ばーか 耳にのこるあの声。 信じたくなかった。まだ仲間だと思っていた人さえも敵に見える。 私は結局認めてもらえなかったんだ。そして私はもう舞台に登れない。 私ははじめから四面楚歌だったんだ。
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