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上条は歓喜に震えていた。恐い?そんなはずない。
だってずっとまっていたんだから。神様の奇跡(システム)すら打ち消せると言っておきながら、不良からは逃げるしかなく、テストの点が上がる訳でもなく、女の子にモテたりする事もない、こんな役立たずな右手を持って。
それでも、自分のせいで一人の女の子の背中が斬られた時回復魔法の邪魔だと言われてアパートを飛び出した時、鋼糸(ワイヤー)使いのサムライ女にボコボコやられた時!自分の無力感を呪いながら、それでもたった一人の女の子を助けたいと、ずっとずっと願っていたんだから!
別にこんな物語の主人公になりたかった訳じゃない。ただこんな残酷すぎる物語さえ打ち消し、引き裂くほどの力が右手に宿っているんだから!
もう一度あの少女に触れるだけで全てを終わらせることができるのだから!
だから、上条は『亀裂』へ―――その先にいるインデックスの元へと走った。
その右手を握り締めて。
こんな残酷な物語の、無限に続くつまらないつまらない結末を打ち消すために。
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