一話

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どこに誘っても拒否するくせに本屋だけはOKするのか…。 「はぁ……」 なんだか複雑な気分だ。付き合ってる気が全くしない。 「今から買い物だってのになにため息ついてるんだい?」 清隆さんがミラーで私を見て聞く。葉もこういう風に気が回るといいのにな。 「何もないですよ。」 「なら良かった。新しい本屋の周りには色々と店あるから行くといい。」 葉は行かないに決まっている。 「はぁ、買い物に行くぞ?」 めんどくさそうに片目で私を見ながら言う。 「いいの?」 「いちいちため息をつかれたら迷惑だ。本屋の買い物が終わったら次は君の買い物に行く。」 相変わらず不器用な優しさだ。だけどずっと優しいのは葉じゃないもんな。 こうやって葉がいるだけでもいいかもしれない。と思う私はかなり惚気ているかもしれない。
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