一話

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「おい!葉!てめえなんてことしようとしてやがる!?」 清隆さんがこういう反応するのは当たり前だと思う。 「なにって…わからないんですか?」 葉が馬鹿にしたように笑いながら言う。 「わかる!わかるけどそんなことしてお前はなんとも思わないのか!?」 「思わないですよ。ならあなたは蟻が目の前で潰されてなにか思いますか?」 「思わない」 つまり簡単に言えばあなたなんてどうなったってなんとも思わないってことだろう。 「この化け猫!」 葉が言っていることを理解して怒鳴る清隆さん。 「冬眠前の熊は獰猛らしいですが清隆の場合は馬鹿みたいですね。」 「てめえ!」 前の車が進み始めてクラクションを鳴らされる。 「ほら前。警察がクラクション鳴らされるなんて可哀想に。」 「原因はお前だ!」 「知りませんよ。止まってる清隆が悪い。」 葉が即答して車の外に出る。 冷徹……この男にピッタリな言葉だ。 「なにをしている?早く出たらどうだ?」 葉が薄ら笑いして私に言う。ごめんなさい清隆さん 清隆さんを置いて歩き始めた。どこに行くのか聞いても全然無視して歩き続ける葉。 「なんか言ってよ。」 「そんなに話をしたいなら付き合ってやる。」 かなり上から目線だ。 「今からどこに行くの?」「静かでのんびりできるところ。」 「もしかしたら帰宅?」 「今から行くところは君と行ったことない」 「嘘!?」 驚きで声が大きくなった。しまったと思ったがもう遅い。 凄く迷惑そうな顔をして私を見てる。そして… 「うるさい」 「はい」
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