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ある英雄の伝説
宇宙開発競争。
我々の世界で東西を冷ややかな戦争状態に分断した時代において平和利用を前提にして盛んに行われ、現在もその技術開発による争いが続いている人類の夢。
外の世界へ。
そういう希望を持つのは、重力に捕縛され、大気という保護膜に包まれてふやけてしまった人類が、発展してゆく自分達の文明に未来が見えた瞬間に気付いてしまう行き場のない閉塞感を打ち破ろうと望んだ際に行き着く必然なのだろう。
この世界でもそう言った「平和な争い」は熾烈を極めていたが、やがては各国々が協力し合い、ついに富裕層が個人で所有できるレベルでのスペースシャトルの開発に成功、有人飛行による最終テストが行われようとしていた。
「気分はどうだい、エリン」
シャトルの設計技師がコクピットのテレビモニターで手を振った。
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