隣の化学教師

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四月一日の案内のもと何とか理事長室に辿り着いた。 無駄に長い道のりだったため、もう外は大分日が傾いていた。 四月一日と黒鋼は並んで一つの扉の前に立っていた。 学園内にこんなにゴテゴテした装飾は必要なのか、黒鋼は内心そう思ったがあえて口には出さないでいた。 理事長である壱原侑子とは何度も会ってはいる。理事長兼古典教師なわけだから 黒鋼が職員室に居るときは大体会う。 此処に就いて日は浅いが彼女がどの様な性格なのか分からないほど鈍くもなかった。 彼女の放つ独特なオーラが黒鋼は苦手だった。 すべてを見透かしたような、それでいて謎の多い彼女の事を黒鋼含め数人は魔女と呼んでいた。 彼女自身は『センスの欠片もない上に失礼極まりないけど、あながち間違いでもないからいいわ』とのこと。 豪華な装飾のドアノブに手を伸ばすと、触れる前に扉は開いた。 「「いらっしゃいませ」」 中には恐らく中等部か、初等部の最高学年位の女の子が二人、出迎えてくれた。
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