出逢い(シリアス)

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暗い、暗い部屋の中で小さな影が僅かに身じろいだ。 頭上にある窓から聞こえる雨の音を聞こうと身を起こす。 空気がしっとりしている。 肌を濡らすように周りの空気に水分が多いことに気づく。 意識して息を吸うと重たい雨のにおいがした。 「う・・・」 硬いフローリングにどれほど身を沈めていたのか。 ぎしぎしと軋む体を叱咤して、壁をつたって立ち上がろうとして僅かに衣服が床にくっつく感触がして見下ろすと、べっとりと赤黒い血の染みが広がっていた。 血で汚れた床を、印を組み小さな水遁を出し流して、裾でこすると意外と見た目にはわからない程度に綺麗になった。
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