出逢い(シリアス)

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暴力を奮いに来る者達はこぞって 「狐め」 「何故お前が生きている」 「私の――を返して」 と言う。彼らの言葉を繋ぎ合わせると自分は狐の化け物で彼らの家族や知人を殺害してそのため彼らは自分にその罪を償わせようと暴力を奮ってるみたいだ。 確かに自分は他の人間達とは少し違うことには気づいていた。 どれほど酷い怪我でも翌日には何もなかったかのようにきれいさっぱり消えているし、腹の奥に″何か″を感じることがある。 しかし彼らの家族を殺したなどと言う記憶はない。 自分が忘れているだけなのか。 それとも自分が狐の化身であったことを忘れ、人間の姿にされているだけなのか。 彼らが嘘を言っているようには見えなかったため、自分には彼らの暴力に耐える義務があるのだと近頃はそう思うようになった。
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