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一人にはもう慣れた。
だから寂しくない。大丈夫。
こうして自己暗示をしていないと、私の弱い心は砕けてしまうだろう。いや、間違いなく砕ける。
いつ砕けてしまうか解らない事への不安。そして、いつかは必ず砕けてしまう事への恐怖。
無限に与えられた時間は、ただただ苦痛の連続であり、安らぎなど存在しない。
最後に外に出られたのは何時だ?最後に誰かと言葉を交わしたのは何時だ?
解らない。思い出せない。
明日が今日になり、今日が昨日になる。
当たり前の時間の流れも、数百もの年を重ねる度に分からなくなってくる。
「まだか。」
もしも願いが叶うのなら
私はこの檻から出たいと願う。
私はこの永遠の鎖から逃れたいと願う。
たとえそれが無理だと分かっていても。それでも私はそう願う。
だけどそれは淡い夢。
「まだなのか。忌まわしき呪いよ。」
誰に話しかけた訳でもない。ただこの静寂を掻き乱してみたかっただけ。
「・・・」
他に誰もいない、誰も来ないこの部屋で、少女は一人その頬を濡らす。
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