野球部とテスト

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「高橋あおい」 「はい」 「英語、今回いいじゃないか」 テスト用紙の上に並ぶ赤い丸がいつもより多くて 赤い数字は8と9 89点! (やった!勉強したかいがあった) なんて喜んでいると 席の近い城戸くんはなんか沈んでいて 「どうしたの?」 って聞くと 「今回、点数悪い…」 「俺、英語だめなんだよねー」 って (あのオールマイティな城戸くんが…?) 「あっそうだ、高橋さん!」 「なっなに?」 「俺に英語教えてよ」 (えっ!?あたしが?) 次の日から私と城戸くんは放課後残って勉強することに… 月、火、水、金曜日は6時から7時まで 木曜日だけはお互い部活もないから4時から6時30分まで 城戸くんは元がいいから、私が教えることすべてをすぐに理解してくれる (なのに…) (何で私なんかに聞くのかな?) 私はある日聞いてみた 「本当に英語苦手なの?」 「テスト何点だったの?」って そしたら 「60点」って… (あんまり悪くない、よね) 「時間なくて最後のほうの問題解けなかったんだ」って (時間ないって…) (時間があれば解けた、ってこと…?) (じゃあ何で?) 「じゃあ、時間があれば解けたってこと…?」 「うーん、まぁそんなところ」 「そんなに…解くの遅いの?」 (しまった!) 案の定、彼の表情は暗くなっていく 「ごっごめん!」 私が謝っていると 彼が口を開く 「高橋さんって"鈍感"?」 「え…?」 「俺、本当は英語、苦手じゃないよ」 「…じゃあ…」 「時間がなくなるのは、高橋さんを見てたからだよ」 (自惚れてもいいんですか?) (期待してもいいんですか?) 向かいにいた彼が私の隣にきて 彼の顔が私の顔の横にくる (…近い) 彼の息が私の耳にかかって (くすぐったい、) (恥ずかしい…) 私の顔はみるみる赤くなっていく… 彼はニッコリ怪しい笑みをうかべて 私の耳元で呟いた 「I'm in love with you….」 (私は貴女に恋してる…) .
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