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何処にでもある普通の学校
白苳(シラブキ)学院
中高一環のこの学院は
此処等では随一の規模を誇る
軽い足音を響かせながら
1人の少女が疾走している
年の頃は15程
背中まである長い髪は
遠目からでもその髪質の良さが窺える
丸く開かれた瞳は
優しげであるが時に強さを滲ませ
どちらも美しい琥珀色をしている
その少女に並走するように
一台の車が速度を落とし
やがて完全に静止した
黒く艶やかなそれは
一目で高価なモノであると知れる
少女が立ち止まって視線を向けると
車から彼女と同じ年頃の少女が降りてきて口を開いた
「朝から元気ねぇ…
おはよう、水樹」
勝ち気そうな瞳に
肩ほどまである栗色の髪の毛先を
緩く巻いた少女は
口元に笑みを浮かべながら
乗ってきた車を下がらせる
「おはよう麗美
いつもの事だけど…
相変わらず凄い車だね」
水樹と呼ばれた少女は
ニコッと笑って挨拶を返すと
走り去っていく車を見ながら呟いた
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