2525人が本棚に入れています
本棚に追加
拓哉
「なら、試してみるか?」
口角を上げ、艶やかな笑みを浮かべた拓哉は、実留の返事を待たずに、再び実留の唇を奪うようにキスをした。
実留
「んっぁ。」
先程とは比べようもない激しいキス。
部屋には卑猥な音が流れ、2人は息をするのも忘れ、お互いを求めるように唇を合わせ続ける。
もう離したくない……
もう誰にも渡したくない…………
その思いが唇を合わせる度に、強くなり、昨夜考えていた事を忘れたように、実留をきつく抱き締め、求める拓哉。
何で優しくするの?
……何で…………何で?
拓哉に強く抱き締められ、求める様な激しいキスの中に拓哉の優しさを感じる実留。
今まで、キスは調教の中の一部みたいなもので、キスの仕方、感じ方、全て身体に覚え込まされていたモノが、拓哉の優しさにより壊され始める。
壊された隙間から何か温かいモノが出てきたかと思うのと同時に、苦しくて心を締め付ける様な感情が湧き出てくる。
…………怖い。
拓哉
「……っ!?」
拓哉がゆっくり唇を離す。
強く抱き締めていた実留は固く目を閉じたまま、涙を流し小刻みに震えていた。
拓哉
「お前の負けだな(苦笑)。」
拓哉が実留の頭を撫でると、実留がゆっくりと目を開ける。
濡れた瞳。濡れた唇。
まだ幼い顔付きながら、どこか女を感じさせる表情。
その表情で拓哉を見つめる。
上目遣い……こいつは狙ってんのか?
理性が飛びそうになるのを必死に抑えつける拓哉。
拓哉
「……実留?無理はするな。なっ?」
実留
「っ違、」
拓哉
「身体は欲しがってるんだろうが、心は違うだろ?」
実留
「っ……何で、どうして……ヒドクしてっくれないの?」
実留の問いに、困った表情を浮かべた拓哉。
拓哉
「……俺が止まらなくなる。一応なっ?俺も男だ。反応もするし欲情もする。だが最後までヤル訳にはいかないだろ?」
実留
「どうして?」
消え入りそうな声。
自分自身もどうしていいのか分からず、その気持ちが言葉として発せられる
拓哉
「……実留?お前は、アイツらと同じような事がされたいのか?」
実留
「っ!!……そ、それでも、か、構わない。だから……だから……。」
抱いて……
その一言がどうしても出てこない。
……認めたくないから。
拓哉の言う通り、身体は刺激を欲してる……だけど心は……。
最初のコメントを投稿しよう!