0人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の空は、清々しい朝とは程遠い曇り空に覆われていた。
僕はけたたましいベルの音に目を覚ました。
時計の針は7時を指している。
「おはよう。」
誰にともなく挨拶をし、僕は眠い目を擦りながら階段を下りてリビングのテーブルについた。
「あら、おはよう。朝ご飯食べて行くでしょ?すぐ支度するから、顔を洗って来なさい。美雪はまだかしら。ちょっと起こして頂戴。」
僕に返事をする隙さえ与えずに母は続ける。
「今日はまだ入学式じゃないのよね?ガイダンスってすぐ終わるのかしら?ちゃんとお行儀良くしなさいよ。これから4年間通うんだから。しっかりね!あとその頭。そんなボサボサのまま行ったらだめよ。」
僕はわかってるよと頷き、妹の部屋のある2階に向かった。
「美幸ー。」
階段を上がりながら妹の名を呼ぶが返事は無い。
「トントン。美幸ー。」
最初のコメントを投稿しよう!