青の色

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僕は朝食を済ませて家を出た。 そして僕は今日から大学生。 そして僕は今日、 二十歳になった。 「みのるー。いちのせみのるー。」 振り向くとスウェット姿の純也がいた。 一ノ瀬 実とは僕のことだ。 「なんだお前。その格好で行くのか?」 「おはよう実くん。今日も決まってるねぇ。あれ?なんか急に大人びた?」 おどけてみせる純也に俺は牙をむいて反論した。 「そうだ。俺は今日誕生日なのだ。知ってるか?誕生日ってのはな、1年に1日しかないんだぞ。そして誕生日を迎えた奴は歳をとる。どんなにバカだろうと童顔だろうとその日を迎えれば勝手に歳をとる。俺は今日で二十歳だ。社会的にはもう立派な成人男性。でも俺は昨日の俺となにも変わらない。今日の俺は交番の前でタバコ吸ってもいいんだぞ。でも昨日はだめだった。わかるか?どれだけ社会のルールが無意味であるか。それとな、誕生日を迎えた奴にはおめでとうって言うのが礼儀らしいが、本人がひとつ歳をとる事をめでたいこととして考えているかなんて関係なしだ。そもそも一体誰がどうして歳をとる事がめでたいなんて決め付けたんだ?歳をとるって事はな、また一歩死に近づいたってことなんだぞ?どこがめでたいんだ。もうすぐでこの長い人生を終わりにできますよおめでとうってか。それともなんだ?年々自殺者が増えてくこの世の中でよく今日まで生きてこれたねよく今日という日を迎えられたねおめでとうってか?くだらねぇ。いいか、社会に流されるな。俺の誕生日だ。めでたいかどうかは俺が決める。間違っても…」 「おめでとうなんて言うな、俺はちっともうれしくない、だろ?わかってるよ実はいつもそうだ。」
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