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意外な言葉に私はおずおずと顔を上げると月明かりに照らされた土方さんの表情が見えた。
どこか悲しそうな表情に私は言葉を詰まらせる。
「……はい…ご迷惑をかけてすみませんでした……。」
「解れば良い。
それより手当てするぞ。」
次の瞬間私の身体は土方さんに抱えられた。
「ひっ土方さん?!
おっ降ろしてください!!
足を怪我した訳じゃないから歩けます!
それに洗い物が…」
私は顔を真っ赤にしながら土方さんに抗議するが聞き入れてもらえる様子はない。
「んなモン誰かにやらせれば済む。
お前の事だ…どうせ手当てだって後回しにしやがるだろ?
他の奴等に知られたくねえみたいだからな……仕方ねえから俺がしてやる。」
有無を言わさない勢いだったが、最後の言葉を少し濁しながら言う土方さんに笑ってしまった。
「クスッ…ありがとうございます。」
「にしても…俺に隠し事するなんて良い度胸じゃねえか。
後で覚悟しとけよ?」
笑っている私を見て土方さんはニヤリと笑みを浮かべる。
「えっ?そっそんな…もう土方さんに隠し事はしません!!」
「フン…どうだかな。」
慌てている私を見て楽しんでいるのか土方さんは鼻で笑うと、触れる程度に唇を重ねてきた。
「ひっ…土方さん……。」
「さっきの言葉…信じるぞ?」
そのまま私は土方さんの部屋に運ばれていった。
【終】
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