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俺は人を好きになってはいけない。何故なら、俺が好きになった人は死んでしまうから――。
俺は普通の高校生活を送っている。否、今時の高校生のほとんどが恋人くらい居るだろうから、俺は寂しい高校生活を送っているのかもしれない。まあ、俺はそんなこと気にしていない。というより、恋人は要らない。俺はそう思っている。
ある日、友達に呼び出された。屋上で待っててくれと言われたから、素直に屋上で待っていた。当然俺はその友達が来るのだと思っていた。が、来たのは一人の女の子だった。俺には女友達なんか居ない。だから俺はこの子が俺に会いに来た理由がわからなかった。彼女は俺の前に来ると少しの沈黙の後、口を開いた。
「あのね、私貴方の事が好きなの」
「は?」
一瞬聞き間違えかと思った。だって、彼女に告白されるなんて、全く思っていなかったからだ。彼女が同じクラスの子だということくらいはわかったが、彼女と話したことがあるのかどうか、俺は覚えていない。それくらい彼女とは接点が無いのだ。何故なら、俺が女の人と関わるのを極端に避けているからだ。ま、どうこう言っても今のこの状況が変わるわけでもない。俺がずっと黙ってたから、彼女は返事はいつでもいいから、と言って行ってしまった。それからしばらく立ち尽くしていると、俺を呼び出した友達が来た。
「よ、された?告白」
「ああ、お前の仕業か、あれは」
「俺の仕業?んなわけないだろ。俺は頼まれたからお前を呼び出しただけだぜ?」
彼女が俺に告白したことはさっきすれ違った時に聞いたらしい。つまり、呼び出す段階では知らなかったらしい。だから何だというわけだが。
「で、返事どうすんの?」
「付き合うわけないだろ」
「何で。あの子いい子じゃん?」
知るか。俺あの子と喋った記憶ないし。あの子がいい子なのか悪い子なのかわかるはずない。だけど、態々説明するのも面倒だったので、適当に誤魔化した。それから俺は友達と別れて家に帰った。
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