ー友ー

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一ヶ月前、氷龍に連れて来られたホテルの部屋で眠る水鶏を久しぶりに見た ホテルにはもう一人男の子が居て、氷龍を見た途端顔色が変わりその場に座り込んでしまった どうやら氷龍から逃げていたのか…… どこに逃げても無駄なのに可哀相に そして水鶏が目を覚ました 「………孔雀?どうして……」 「お目覚めか?」 「氷龍……くっ…」 「どうやらまだ完治には程遠いな」 包帯の上から腕を掴みながら笑った こいつは昔からこんな奴だった 死にそうな相手を更にいたぶり続ける 「やめろ!」 「止めたと言う事は答えは決まりだな」 鷺………ごめんね でも、僕には今目の前に居る水鶏も見殺しには出来ない 「わかった……但し約束はちゃんと」 「わかったよ……水鶏、嬉しいだろ?孔雀がまたお前と組んで仕事をする」 「えっ?」 「お前は孔雀さえ居ればいいんだろ?」 「水鶏!ダメだよ」 「春……ごめん」 「何で?どうして……」 氷龍は泣きじゃくる男の子に近付き静かに言った 「お前には何もしないから安心しろ……」 「………人殺し」 「クスッ、だからなんだ?こいつらも数え切れない程、人を殺しているんだよ」 「………水鶏」 「春、今はもうこれ以上逃げるのは無理だ……氷龍様、春は組織には関係ないから自由にしてやって下さい」 「知られた以上は無理だな……また屋敷で俺の世話でもしろ」 「氷龍様……」 「もういいよ……」 「春?」 「水鶏はそこに居る人さえ居れば満足なんだろ?」 「違う!」 「違わないね!だからもういいよ」 「………春」 「怪我はここで治せ」 「はい」 「孔雀は水鶏の傍に居てやれ」 「わかりました」 「春は連れて行く」 「春!」 「さようなら」 こうして水鶏と再会した その時は春についての事はわからなかったが水鶏が詳しく話してくれた だけど僕の心境はまだ複雑だった 諦めなければいけないのに諦めきれていない自分の中に居る鷺 きっとまた、事実を知ったら泣かせてしまうんだろうね
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