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仮想世界ってどうなんだろう…
俺は太陽が街並みを赤く染め始めた景色を見ながら、まだ見ぬ世界を思っていた。
今から五年前、ネットワールドに凄い革命が起きた。
仮想世界ビューワー『V・T・R』の出現。3D表現は別段に珍しくないネットで、このビューワーが爆発的に人気が出た理由、それは『完全感覚投入型』と呼ばれる『フルダイブシステム』の登場が相乗効果となり全世界的に普及した。
この『フルダイブシステム』はアバターと呼ばれるネットワールドの体を自分の体のように動かせる。どういうシステムでこうなってるかは解らないが、ネットワールドにインすると自分の体から離れてアバターの体に乗り移る。こう表現したほうがいいかな。
以前にネットカフェで体験版をした時にはその凄さにとても感動した。
あの時はデフォルトのアバター(初期仕様)だったが今日からは自分のアバターが作れる。
こだわるならお金がかかるから…しばらく先になるかな~…。
周りが夕日に染まり、そのオレンジがかった紅に写る自分のアパートが見えてきた。
俺は階段を登り二階の奥にある自分の部屋に向かった。
『泉鉄心』
俺の表札がかかった扉の前で鍵を取り出し、ふと振り向いて果てしなく広がる空を見つめた。
近くの公園で遊ぶ子供の声が響き渡り、周りを染める朱色がもうすぐ暮れる日の光を感じさせ、俺は遠くに住む両親を思い出しながら自分の部屋へと進んだ。
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