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ミーン ミンミン ミーン…
「あっつー…早く帰ってシャワーしてからバイト行かなきゃ…」
あたし、杉浦美緒。18歳。
残暑厳しく太陽がサンサンと降り注ぐ中、大急ぎで走っていた。
あたしは高校に通いながら、夕方~深夜0時までバイトをして生活している。
親?そんな人達はいない。父親はあたしが物心つく前に死んだらしい。
母親はあたしが高校入学を機にずっと付き合っていた男と出て行った。
それから、あたしはずっと1人。
「ん?誰だろ、あんなとこで寝て…」
アパート付近まで来ると誰かが外壁に寄り掛かって寝ている。
何…?あれ、着物着てる…男…?
怪しいと思いつつもそーっと近付き顔を覗き込んで見た。
「わ、かっこいい…」
着物を着て眠りこけている男性は、整った綺麗な顔立ちで、思わず見惚れてしまう程だった。何これ、槍?
放っておく訳には行かない。あたしは眠っている男性を抱えて家へと入って行った。
この男性が幕末の英雄として名を馳せた人物と分かるのは、もう少し先の事…。
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