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「…なぁチャンミ?」
「…はい?」
耳に直接伝わる声と胸の鼓動の振動。
「…怒ってた原因て何?」
「…何って……僕が買って来たプリンを勝手に食べたじゃ無いですか」
今朝、冷蔵庫を開けると、楽しみにとっておいたプリンが無くなっていた。
近くに居たシアヒョンが、
「昨日の夜にユチョナが食べてた」と聞いてプッツン。
「…へ?俺食べてないぞ?食べてたのはシア…」
「…………」
「わぁあッ?!ちょッチャンミッ!待ったッ!」
ユチョナの手が僕の腕を引っ張って制止する。
止めないでください。
ヤツを仕留めて来ないと気持ちが収まらない。
『何で止めるんですか?』と、冷たい眼で見下ろすと、ユチョナはケラケラと笑い出した。
「ははッ…まさかプリンだったとは……お前らしいよ」
悪かったですね。
食べ物の怨みは怖いんですよ。
ムッとしていると、ユチョナの手が伸びて、
僕の頬に触れた。
「プリンぐらい買って来てやるから。…もう少しだけ…な?」
微笑んで来たユチョナに、僕は笑みで答えた。
その後にもたらされた口づけは、
プリンよりも甘くとろけていった。
-オワリ-
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