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楽屋に戻ってから、
しまい込んでいたモノを取り出す。
幾重にも折られて、シワシワになってるけど。
“ジェジュとずっと一緒に居られますように。”
色褪せる事の無い文字が書いてあった。
「“ずっと”…か」
そうだよ。
今は、例え離れていても、心はずっと傍に居る。
すっかり暗くなった。
空はあの頃と同じ満点の星が瞬いてる。
「…あれ?鍵何処にしまったっけ??」
カバンの中に入れたはずの鍵が見当たらない。
部屋の前でカバンの中をガサゴソ。
あ、あったあった。
鍵を開けようとした、その時。
「ジェジュ」
名前を急に呼ばれて、ドキンッと胸が高鳴った。
「……へ?」
慌てて辺りを見回す。
スッ…とエントラスから出てきたのは、もちろん。
「おかえり」
変わらない優しい笑顔。
つられて俺も笑った。
「…ただいま、ユノ」
七夕が連れて来た、再会の瞬間。
オレ達は、その時だけ、
織り姫と彦星になった。
-END-
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