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…なんだコレ…。
目の前が歪む…というよりは、大きな眩暈に襲われた。
振らつく身体。
まずい…立ってられないかも?
「……ユノヒョン?」
チャンミの声で、ハッと我に返る。
「…ん?あぁ…何でもない」
おかしいな。
どうも調子が悪い。
風邪でもひいたか?
疑問符を浮かべながら、もう一歩足を踏み出した時。
グイッと腕を捕まれた瞬間。
………ッッ?!
「……やッ……うぁッ…?!」
足元を掬われた感覚と、捕まれた場所から電気の様なものが全身を駆け巡る。
同時に血液が沸騰したのでは、と思いたくなる程に全身が熱を発した。
もちろん………。
「……良かった。ちゃんと効いてるみたいですね」
俺の腕を掴んだまま、空いている方の手で眼鏡を外しながらクスクスと笑うチャンミ。
……効いてる??
聞き慣れない単語が耳についた。
身体の奥底から沸き上がる熱に耐えられず、
口は喘ぐような息を繰り返す。
「申し訳ないんですが、…コレの中身をすり替えさせて貰いました 」
眼鏡を机の上に置いた手が、今度は俺の身体を抱き寄せる。
必要以上の密着で、変化を見せている身体の中心が、
チャンミの太股に触れて「あっ」と声が漏れた。
回された腕にカッチリと固定された腰。
もう片方の手が、ズボンのポケットへと忍び込む。
「やっ……んぁッッ!!」
モゾモゾて動く指先。
別に、ソコを触られている訳じゃ無いのに、全てがその一点に集中していく様な。
絶対何か変だ…。
ようやく離れた手には、さっきチャンミのカップへ入れた薬のボトル。
勿論、中身は空っぽ。
てか…すり替えた?
「はぁ…はぁ…な、何…それ…すり替え…た?」
上がった息はおさまらず、絶え絶えに口から紡がれる言葉。
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